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【高校生必見!】半導体をトヨコウで極める ~機能半導体デバイス研究室~

2026.07.09

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「半導体」と言っても、学び方はいろいろ。今回は「機能半導体デバイス研究室」を紹介します

ニュースなどでも度々クローズアップされる、半導体。今の時代、私たちの身の回りで半導体が入っていない製品を探す方が難しくなっているほど、私たちの生活には欠かせないものとなっています。

一口に半導体と言っても、CPUに代表される「ロジック集積回路」から、電気を制御する「パワーデバイス」、さらには「太陽電池」まで、その種類や役割は多岐にわたります。 世界中の研究者たちは日々、それぞれの領域で性能の限界に挑戦しています。たとえば、ロジック集積回路では「より小さく、より省エネ」に。パワーデバイスでは「より大きな電力に耐え、より高効率に動く」ように、そして太陽電池向けでは「より高い効率でエネルギーに変換する」ためになど、それぞれが次世代の社会を支える新技術の開発に向けて、しのぎを削っています。

これらの研究アプローチは、大きく以下の4つの領域に分類することができます。

1.【材料】新しい物質を創り出したり改良したりする研究
2.【プロセス】膜形成や微細な構造を作成する、加工・製造技術の研究
3.【デバイス】高い性能や新しい機能を持った半導体素子を開発する研究
4.【回路・システム】デバイスを組み合わせて新たな電子システムを開発する研究

これらの領域は、「新しい物理現象や素材を見つける理学的な要素」と「それを役立つ形に加工して社会に送り出す工学的な要素」を含む複数の学問分野にまたがっているという特徴を持っており、本学での「分野横断型の学び」が活かされる研究領域です。

本学では複数の研究室において、アプローチの異なる最先端の研究が日々行われています。その中の一つ「機能半導体デバイス研究室」について、今回はクローズアップしてみたいと思います。

研究室名に「デバイス」が入っている機能半導体デバイス研究室は、上記3.に該当し、新たな機能を持ったデバイス開発に向けた、新材料や作成プロセスの探索からデバイスの開発、さらにはその応用に向けて研究に取り組んでいます。2023年度に開設された比較的新しい研究室で、現在、教員2名、研究補助者1名、PDなどの研究員が2名、修士学生6名、学部生9名が所属しています。

  • ここで本学の教育システムについて少し説明します
    学部生は4年次への進級時に各研究室に配属され、研究指導を受け始めます。学部学生は「卒業研究論文」、修士学生は「修士論文」として、研究成果を最終的にまとめ上げます。その過程を通じて、情報収集・活用能力、論理的思考力、創造力、問題探究・解決能力、グループ活動能力、プレゼンテーション能力などの「汎用力」を育みます。
研究成果を「アウトプット」する

日常の研究活動では、各研究室で定期的に開催される「セミナー」を通じて、研究の進捗報告を行うだけでなく、学術書や原著論文から得られた研究の動向や課題を考察した結果を発表するなど、メンバーと活発なディスカッションを行っています。

それら学内での研究活動に加え、日々の実験で得られたデータを研究の節目ごとに体系的にまとめ上げ、学外へ向けて「アウトプット」することは、研究活動において極めて重要なステップです。ここで言うアウトプットとは、得られた成果を単に記録・発信するだけでなく、文字や図表に落としこみ、プレゼンテーションを通じて他者へ自分の考えを明確に伝えること。そして、そこから生まれる質疑応答や情報交換などの「人との交流」を通じて、自らの研究をもう一段上のステージへと進化させることを意味します。その発信の場は多岐にわたりますが、最も代表的な場は「学会発表」です。

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各研究室で行われる「セミナー」では、メンバー間でディスカッションを行ったり、スケジュールを確認したり、さまざまな情報共有が行われます

学会においては、学生であっても参加者全員が一人の「研究者」として対等に扱われます。特に口頭発表においては、限られた時間内で自らの研究の価値を論理的に説明し、会場からの鋭い質問にも当然、自力で応じなければなりません。この機会を通じて、自らの研究を発展させ、研究者とのネットワークも広げることができます。

しかし、日々どれだけ真剣に研究に励んでいても、学会発表をはじめとする「一人の研究者として成果をアウトプットすること」は簡単なことではありません。学生たちが臆することなく挑戦し、自立した研究者としての確かな自信を持つことができるよう、各研究室では実践的な経験を積むためのさまざまな取り組みを行っています。

その具体的な試みとして、本学の機能半導体デバイス研究室が中心となって主催しているのが「シリコン系半導体ニューフロンティア研究会」です。

2024年度の立ち上げから数えて4回目となった今年5月の研究会は、他大学からの参加者も交え、過去最多参加者数約60名で開催されました。一般的な学会とは異なり、こちらは学生が主役となる発表会です。とはいえ、他大学の学生や教員を前に行うプレゼンテーションにも、身が引き締まるような刺激を得ることができます。それと同時に、日常では交わることのない学外のメンバーとつながりを築ける、学生たちにとって絶好のチャンスとなっています。本研究会は、研究室に配属されたばかりの学部4年生および修士1年生を対象としており、自身が取り組む研究テーマや関連領域への興味を高めることなどを目的としています。

機能半導体デバイス研究室の修士課程1年 齊藤祐希さんに本研究会の感想や研究への想いについてお話を聞いてみました

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修士1年生の齊藤さんは次世代EVの未来を担う「シリコンカーバイド(SiC)パワー半導体」の作成プロセスを研究中

── 「シリコン系半導体ニューフロンティア研究会」での発表を終えて、率直な感想を聞かせてください。

齊藤さん: とても緊張しました。発表時間は7分間ですが、大勢の前でスライドを使って発表する形式だったので、緊張のあまり完全に早口になってしまっていたのが反省点です。準備としては、発表内容の方向性を指導教員の沼田教授と相談した後は、基本的には自分の力で発表資料を作成し、仲間同士で発表の練習などを行いました。限られた持ち時間の中で、どうすれば自分の研究が聴講者に伝わるか、時間管理しながらアウトプットする非常に良いトレーニングになりました。

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5月に実施された、シリコン系半導体ニューフロンティア研究会での発表の様子

── 今回の発表は、ご自身にとってどんな位置づけだったのでしょうか?

齊藤さん: 学部4年次に卒業研究をまとめ、今年修士課程に進学しました。今回は卒業研究の成果と修士研究の道筋などを発信する場となりました。現在は、修士での新たな研究計画を立てている時期であり、そのタイミングでこれまでの成果を一度体系的にまとめられたのは、自分にとっても大きな区切りになりました。

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傾聴力、思考力、言語化能力などすべてを働かせ、質問にも丁寧に答えます

大学の枠を越えた「人との交流」が、研究の視野を広げる

── 研究会では、他大学の学生や教員との「情報交換や交流」も大きな目的の一つでしたね。

齊藤くん: はい。今回は過去最大の参加人数ということもあって、研究会後の交流会では、同じ年代で同じ志を持つ他大学の仲間とたくさん話すことができました。この研究会を通じて知り合った友人と訪問先で出会うこともあり「久しぶり!」と気軽に声をかけることができるのも嬉しいです。学内で実験に没頭することも必要ですが、外を見るすごく良い機会だと思っています。大体皆、同じような境遇にいるため、研究の悩みや愚痴など言い合うことも(笑)良い気分転換にもなりましたし、何より研究へのモチベーションが上がりました。

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今回の研究会ではフットサル企画が盛り込まれ、スポーツも共に楽しみました

── 他大学の学生と話す中で、気づいたことはありましたか?

齊藤くん: 他大学の環境を知ることで、逆に「豊田工業大学の設備の強みや環境の良さ」を客観的に再認識できました。私の研究は、次世代のパワー半導体であるシリコンカーバイド(SiC)に、「ALD法(原子層堆積法)」という手法を用いて絶縁膜を形成し、金属酸化膜半導体(MOS)構造を持つデバイスを作成するのですが、とにかくプロセスが多い。さまざまな条件のデバイスを作成しなくてはならないため、性能を大きく左右するため、クリーンルームでの実験の繰り返しです。ありがたく感じるのは、本学のクリーンルームは、予約や待ち時間などの制約をほとんど受けず、使いたい時にいつでも使えること。さらに、すべてのプロセスを一気通貫で、すべて学内のクリーンルーム内で完結できる。この環境は、他大学の仲間から見ても「恵まれている」と言われ、自学の強みを改めて誇らしく思いました。クリーンルームの指導員の方々とも距離が近くて、いつもフランクにさまざまなアドバイスをくれるので本当に心強いです。

共同利用クリーンルーム」ってどんなところ?

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研究の基盤となる「安全」。実験・研究を行う学生は「利用者講習会」を必ず受講し、一研究者としての責任感を持ってクリーンルームを利用します

クリーンルームとは、チリやホコリが厳しく管理された研究施設のことです。

開学時の1985年から続く、本学が誇る微細加工施設であり、2015年のリニューアルを経て、現在は約450㎡(バスケットボールコートほどの広さ)の空間となっています。また、最高でクラス100(※)の高清浄度エリアを有し、約40台の製造装置を備える本格的な施設で、学内外の半導体やマイクロマシンなどの研究に利用されています。ここでは、教員に加え、企業で半導体の設計、製造、開発に関わった経験を持つ指導員が複数人常駐しており、学部1年生全員はその体制での指導のもと、半導体微細加工の基礎と原理を学んでいます。
(※) 1立方フィート内に含まれる直径0.5ミクロン以上の塵や埃を100個以下に保証

施設には最先端の機器を揃える一方、あえて90年代に普及した装置も活用しています。近年、企業などで使われる最新機器は自動化が進み、中身が見えない「ブラックボックス」になっていますが、本学では、装置の内部を学生が自分の目で見て、手を動かし、その仕組みを理解することに役立てています。ファブレス(製造工場を持たない半導体メーカー)も増え、製造過程を目にする機会が失われつつある昨今。本学のクリーンルームでは、「大学ならではの研究・教育環境」を維持しつつ、それらを活かした最先端の研究と教育を実践しています。そういった環境は、現在は企業の新人研修などにも活用され、業界からも高く評価されています。

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企業の方も利用するクリーンルームに、齊藤さんも週に3〜4回、日々の実験のため訪れます。「使いたい時にいつでも使える」という恵まれた環境をフル活用

── ところで、齊藤さんはいつから工学の道を志していたのですか?

齊藤さん: 小学校6年生の頃から「将来は工学の道へ進む」と決めていたくらい、幼いころからモノづくりに興味がありました。当時は「モーターに関わる研究がしたい」と考え、工業高校を経て大学へ進学するために受験勉強に励みました。 大きな転機となったのは、学部3年の時に受講した沼田教授の授業です。当時、沼田教授が主宰する機能半導体デバイス研究室は立ち上がったばかりでした。授業の際にモーターに関連するパワー半導体について学びたいと先生に相談し、「うちならやれるかも」って言ってもらえたことが決め手となりました。現在取り組んでいるパワー半導体の研究は、まさに「モーターを効率よく制御するための部品」です。あの時先生に相談したことで、小学生の頃から抱いていた興味や夢がつながっているという感覚があります。私たちが研究しているパワー半導体は、これからの脱炭素社会や電気自動車、ハイブリッド車の制御において決して欠かすことのできない根幹の部品です。日々の研究活動や今回の研究会で得た貴重な経験を糧に、そして本学の研究環境をフルに活かして、まずは冬に挑戦する学会発表に向けて、研究を加速させていきたいです。